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CEFICの研究活動実績

イノシシ被害対策の実証実験をスタート

一般社団法人CEFIC研究所、
株式会社DMM Agri Innovation、株式会社アポロ販売の3社は、害獣の行動を見える化する技術と赤外線カメラ搭載のドローンを活用したイノシシ被害対策の実証実験を広島県立びんご運動公園で開始した。

この実証実験は、AIやIoTビッグデータ等のデジタル技術を用いた実証実験を支援する公募型のプロジェクト「ひろしまサンドボックス」の事業「公園内のイノシシ被害軽減のための獣害対策支援業務」の一環で開始されたものである。

CEFIC研究所は、農学博士である吉川泰弘氏が提唱した「人と動物の健康のための統合的なアプローチ」を推進する研究機関。持続可能な開発目標(SDGs)および環境保全や食糧の安定供給、感染症統御の実現を目指すマンハッタン原則を活動指針に、Community-based Environment,Food and Infection Control(コミュニティベースにおける環境・食品・感染の管理)の実現を目指す。

DMM Agri Innovationは、DMMが提供する各種ソリューションを用いて農業に関する課題解決に取り組む企業で「農業と未来を歩む」をテーマに鳥獣被害対策事業等を展開している。

アポロ販売は、電気柵の販売を中心に鳥獣被害に関する防護資材の販売や設置、メンテナンス等を手がける企業で、鳥獣の捕獲や処理、利活用に関するサービスを提供する。

赤外線カメラを搭載したドローンによる追跡撮影に成功

広島県立びんご運動公園は、県民の憩いの場として多様なレクリエーション活動に幅広く利用されているが、近年はイノシシの出没が相次ぎ、掘り返し等の被害が後を絶たない状況が続いているという。

実験では環境省が保有する植生マップ等の既存データを基に、痕跡調査を行い足跡の種類から群れの特徴や年齢を特定。また寄生虫などを落とすための泥浴び場である沼田場(ぬた場)を発見し侵入経路の特定も行った。ドローンによる空撮データを加えた新たな植生マップを作成してイノシシの行動を見える化したという。

その後、このデータを活用して、公園内に侵入したイノシシを赤外線カメラ搭載のドローンで追跡。撮影された動画を確認した結果、公園内を徘徊するイノシシの撮影に2日連続で成功した。

3者は、今回の実証実験で得た成果を基に、映像解析や糞の分析等を進め、詳細な生態把握を進めると同時に、害獣の侵入防止に効果のある電気柵やグレーチング、忌避剤等を設置して、びんご運動公園におけるイノシシ被害を撲滅する方針を示している。

SMART AGRI 2021.2.20 より